血糖スパイク

血糖スパイクに注目する理由

健康な人も意識すべきことが「血糖スパイク」の予防だと考えています。その理由は、血糖スパイクを改善しようとすることで得られる健康のメリットが大きいからです。

血糖とは何か?

血糖とは血中のグルコースのことです。私たちの体を元気に動かすためには、エネルギーが必要です。そのエネルギー源は多くの場合、食事由来の糖質です。炭水化物という言葉もありますが、糖質と食物繊維を合わせたものを炭水化物といいます。糖質を体内に取り込むと血糖値(血中のグルコール濃度)が上がります。血糖値が上がると、膵臓からインスリンが分泌されることで、細胞のミトコンドリアという細胞小器官においてエネルギーへと変換する働きが促進され、糖質は筋肉収縮や脳、肝臓のエネルギー源として利用されます。そして、過剰な糖質は肝臓や筋肉や脂肪細胞で保管されます。

通常、血糖値はいかなる食事をしたとしても、一晩絶食したとしても70~140㎎/dlの間に収まりますが、空腹時の血糖値が140㎎/dlを超えたり、食後の血糖値が200㎎/dlを超えると糖尿病と診断されます。

日本における血糖値の問題

日本人の死因は、老衰を除き約半数が、悪性新生物(がん)・心疾患・脳血管疾患となっています。平均寿命増加に伴う健康寿命の増加の必要も叫ばれて久しいですが、血糖スパイクは動脈硬化の要因になると言われており、血糖スパイクはそれだけで心・血管疾患リスクとなり、また糖尿病の予備軍ともなることから生活習慣病のリスクともなります。

また恐ろしいことは、血糖スパイクを知らずに解決するためにさらに血糖スパイクを悪化させてしまうことがあるということです。

逆に、血糖スパイク一つを解決するだけでも、糖尿病、心・血管疾患、副腎疲労などさまざまな不調を解決し、アンチエイジングにもなります。

高血糖と血糖スパイクは何が違うのか?

高血糖と血糖スパイクは似ていますが、異なります。持続的な高血糖または食後2時間血糖値の異常高値によって診断が下される糖尿病の診断基準は以下の通りです。


(引用:糖尿病診療ガイドライン2024)

血糖スパイクは、糖尿病になる前の症状と言われていますが、血糖スパイクによって生じる不調は糖尿病の症状とは異なります。血糖スパイクは通常どんな食事をしたとしても、70〜140ml/dlに収まるはずの血糖値が、食後それ以上に急上昇し、のちに急降下しているジェットコースターのような血糖値の推移をしている状態を指しています。

多くの場合、病院で検査をする時は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)と血糖を測定しています。HbA1cとは糖化ヘモグロビン(糖とくっついたヘモグロビン)のことで、 1〜2ヶ月前の血糖値を反映しているので、食事でどれくらい血糖値が急上昇しているのか、については知ることができません。血糖は血糖値を反映しており、血糖スパイクの起こりやすい食後 1〜2時間に血液を採取していれば血糖スパイクを見つけることができると思われますが、タイミングがずれた場合は空腹時血糖を表していることがほとんどです。そして、健康診断は多くの場合は絶食状態で行います。

今後、保険診療で血糖スパイクを見つけることができるようになるかもしれませんが、現状は血液検査や定期健康診断で見つけにくいからこそ、普段から自分で「血糖スパイク」の存在を知り、不調の原因の一つとして血糖スパイクも疑い、対策する術を知る必要があると考えています。

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