腸活がいいものとは知ってはいても、血糖値に関わるとは思いませんよね?
腸内環境は便通だけでなくメンタル面や免疫にも大きく関わっていますが、
血糖スパイクにも深く関わっています。
最近では、自分の腸内環境の良し悪しだけでなく、
どんな菌が多くいるのかまで、自宅にいながらにして知ることが可能になっています。
結論からお伝えすると、
腸内環境を整えるような食生活をすることが、血糖スパイクの改善にもつながります!
なので、今日は腸内環境を整えるための方法をお伝えします。
血糖スパイクの症状
以下のような症状が食事の前後である場合、血糖スパイクかもしれません。
- 耐えられないほどの眠気
- 倦怠感
- 強い空腹感
- 生あくび
- 動悸や震え
- 頭痛
正常な人の血糖値は、どんな食事をしたとしても
食後の血糖値はゆるやかに上昇し、ゆるやかに下降していきます。
しかし、血糖スパイクを起こりやすい人の場合、
食後の血糖値は急激に上昇し、急激に下降する乱高下の動態を示します。
血糖スパイクが起こっていたとしても、無症状の人もいます。
血糖スパイクの程度を知る方法
通常、血糖値は70〜140mg/dlの間を推移し、断食や食事をしてもそこから大きく外れることはないとされています。
しかし、血糖スパイクが起こると、食後数時間で140mg/dlを越えて跳ね上がり、
その後、数時間で70mg/dl未満に下がってしまうことがあります。
体の不調を感じる場合は、血糖値が急激な変化をしている最中に感じることが多いです。
血糖値を測定する機会というのは、
健康診断などで血液検査をして血糖値を測定することが多いと思います。しかし、絶食状態であったり、食後でなかったり、糖尿病の診断のために受診しなければピンポイントで食後の血糖スパイクを測定することがタイミング的に難しいと思います。
そんな時に便利なのが、「フリースタイルリブレ2」です。
リブレ2が測定するのは、血漿中のグルコース濃度ですが、血液中のグルコースと高い相関関係があると認められており、医療機関でも糖尿病患者さんの持続血糖管理のために使用されています。
リブレ2はインターネットで購入することが可能です。
ただし、自分で対応できるのは血糖スパイクまでです。
もしも測定してみたら血糖スパイクが発生しているのみならず、
空腹時の平均グルコース値が126mg/dlを越えている場合は迷わず糖尿病内科を受診しましょう。
腸内環境の重要性
腸というと、大腸と小腸があります。
腸内環境を整える、といった場合は主に大腸のことを指しています。
小腸は食べ物を吸収する場所であり、
大腸では水分を吸収したり、食べ物の残りかすを使って腸内細菌が人間の体に必須の栄養成分を作り出しています。
私たちの腸の中には約1000種類、100兆個を超える腸内細菌が存在しています。
無菌状態の胎児が母親の産道から下りて来るときに、母親由来の細菌に触れることで微生物との共生が始まります。
大腸内に棲む微生物は小腸内に比べて約1万倍も多くの細菌がいて、大半は大腸を棲みかにしています。
大腸だけでも数百種類を超える細菌が全部で100兆個以上住んでいます。
人の腸壁を覆う細胞はタイルのように綺麗に並んでおり、
細胞の間には漆喰の役割をする細胞間マトリクスと呼ばれるタンパク質があります。
腸内細菌は人の食事かすから栄養を得て生存する代わりに、
漆喰の役割をするタンパク質をつくることで腸壁を堅固に保つことや、
腸壁の外側(腸内管腔側)の粘液(ムチン)をつくることで、
腸内からくる有害な細菌やウイルスなどの侵入者から体を守る働きをしています。
腸内細菌のバランスが崩れ腸内環境が悪化すると、腸壁をくっつける漆喰が緩くなり、
腸壁の外と内の境界を守っていた粘液が減少し、
腸内の異物が体内へと侵入しやすくなる「腸漏れ」が発生しやすくなると言われています。
腸漏れが起こると、体内の慢性的な炎症を招き、
血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの効果が発揮されにくい状態(インスリン抵抗性)を引き起こす可能性があります。
また、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)のうち、
特に「酪酸」により大腸の正常な機能がもたらされます。よって、
腸内細菌(善玉菌)を活性化し、「酪酸」を生み出すことが腸内環境にとって重要だと言えます。
腸内環境への甘いものの影響
血糖スパイクが起こっている人は、血糖値の急上昇の後に急激な血糖値の低下が起こっています。
血糖値が低下した時に体は血糖値を上げようとするため、甘いものが欲しくなります。
低血糖時に習慣的に摂取する食べ物が、
腸内細菌の栄養となるものでなければ、さらに腸内環境は悪化し、
血糖スパイクのリスクを続けて高めてしまうことになりかねません。
手軽な甘いものの代表である、
砂糖や脂質や精製小麦のみ入ったお菓子は、
より有益な腸内細菌(善玉菌)の栄養とはならず(人間と悪玉菌の栄養にはなりますが)
血糖スパイクや低血糖症状を抜本的に解決する手段として好ましくありません。
腸内環境をチェックする方法
腸内環境は千差万別で、最近では自分の腸内環境を知るためのツールもあります。
簡単に自分の腸内環境を知る方法として、便の観察があります。
大腸はほとんど無酸素状態なので、
酸素があると生きられない腸内細菌(偏性嫌気性菌)が住んでいます。
偏性嫌気性菌にはビフィズス菌・バクテロイデス・ユーバクテリウム・クロストリジウムなどが含まれます。
一方、小腸はやや酸素がある環境なので、
酸素の有無に関係なく生きていける腸内細菌(通性嫌気性菌)が住んでおり、
乳酸菌・大腸菌・腸球菌などが含まれます。
人の便の半分以上が細菌とその死骸からなっており、
便の状態によって、腸内細菌の良し悪しの参考とすることができます。
良い状態の便
一番良い状態の便は「4番」の便です。
ソーセージやバナナの形状をしており、適度な水分量を含むことで滑らかであり
排便時に痛みを伴わずにスルッと排泄されることが特徴です。また、
匂いがさほど臭くなく、色味は黄色褐色〜茶色であるものです。
逆に、排便時に痛みを伴ったり、色が黒っぽかったり、匂いがキツすぎるなどの場合は
自分の腸内環境を整える努力をした方が良いでしょう。
便の状態は日々、食べたものや腸内環境、病気の有無で便の状態は変わるので、
体調のバロメーターにすると良いです。
善玉菌の育て方
腸内環境を整えるためには大きく二つの方法があります。
一つ目が、腸内細菌の栄養になる食べ物を摂取する方法でプレバイオティクスと言われています。以下の2種類がプレバイオティクスに該当します。
- 難消化性オリゴ糖
- 発酵性食物繊維
①不溶性食物繊維
・全粒穀物(玄米、全粒粉パン、オートミールなど)
②水溶性食物繊維
・全粒穀物(玄米、全粒粉パン、オートミールなど)
・野菜(ごぼう、ブロッコリー、さつまいも、らっきょう、こんにゃくなど)
・きのこ
・果物(ブルーベリー、アボカドなど)
・海藻(昆布、海苔、ひじきなど)
腸内細菌は多様性が重要とされているので、
どれか1つに偏ることなく、
不溶性食物繊維と水様性食物繊維を合わせて摂ることが重要です。
③レジスタンドスターチ(難消化性でんぷん)
・冷えた白米、冷えたパン
・全粒穀物、パスタ
・コーンフレーク
ただし、レジスタントスターチを摂取するときは、
血糖値を急上昇させやすい砂糖や精製小麦の含まれた食品も見られるので、
食品の選択に注意が必要です。
二つ目は、直接腸内にとって有用となる細菌を含む食品を摂取することで、プロバイオティクスと言われています。プロバイオティクスには以下のような食品が含まれます。
1.発酵食品
・ヨーグルト
・ケフィア
・キムチ
・納豆
・味噌
・ぬか漬け
注意点として、ヨーグルトは冷たい状態で摂りすぎると体の冷えにつながり、
さらなる体調不良を生む可能性があるのでできれば常温近くで食べるとよいでしょう。
2.乳酸菌・酪酸菌製剤
ドラッグストアやオンラインショップで
ビフィズス菌や乳酸菌や酪酸菌製剤として購入できるものが多数販売されています。
最近は特に、酪酸菌が注目されています!
酪酸菌には、大腸壁の細胞のエネルギー源となり、腸粘液を産生する働きがあると言われています。腸内細菌の働きは今後もっと解明されてくると思われます。
酪酸菌を摂りたい場合は食品だと、
ぬか漬けや臭豆腐(しゅうどうふ)など限られた食品にしか含まれないので、
酪酸菌製剤として摂取する方法が良さそうです。
注意点
腸内環境を整えるために発酵食品や食物繊維を摂ることで、
むしろ体調が悪くなる場合があります。そのような場合、
SIBO(小腸内細菌増殖症)やIBS(過敏性腸症候群)と呼ばれる病態の可能性があります。
その際は、IBS(過敏性腸症候群)の食事療法として知られる
低FODMAP食事法を試すのが良いと言われているので、
医療機関で相談することも検討しましょう。
まとめ
腸内環境を整えるためには一つの食品に偏ることなく、
バランスよく摂取することが必要です!
腸内環境を整えることで、血糖スパイクを起こりにくくできる可能性があるとともに、
善玉菌のための食事の多くが、血糖スパイクを起こしにくい食事でもあります。
善玉菌を育てる意識を持って食生活に取り組むことで、
血糖スパイクの改善につながります。