血糖スパイク

血糖スパイクは何がいけないのか?

血糖スパイクは食後の血糖値が急上昇してしまう状態のことです。

血糖とは何か?

「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)のことです。
ブドウ糖は私達の体のエネルギー源として最も重要なものです。
車にガソリンが必要なように、人間にブドウ糖がなければ脳・全身の筋肉・内臓・細胞・血球などを正常に動かすことができません。

体内に十分にブドウ糖が供給されていなければ、筋肉や肝臓に貯蔵されたグリコーゲンや脂肪を分解してエネルギー源として利用します。
逆に、ブドウ糖が過剰になれば、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして、また脂肪細胞に脂肪として貯蔵します。

糖尿病とは?

ブドウ糖を体のエネルギーとして使用するために、血中から体の各細胞に運ぶ唯一のホルモンを「インスリン」といいます。インスリンの作用不足は私たちの体に重大な影響を及ぼします。インスリンの作用不足により血液中に持続的に高い血糖値が続く状態が「糖尿病」と呼ばれる状態です。日本では糖尿病患者と糖尿病予備群は合わせて約2,000万人いるといわれています。
糖尿病で何より恐ろしいことは、高すぎる血糖を放置することで血管が障害を受け末梢神経や網膜、腎臓などの機能を破壊してしまうことです。

漢方でも糖尿病のことを「消渇」と言い水分を飲んでも飲んでも口の渇きが消えない特徴をもって表現されています。

その体調不良の原因は血糖値の乱れが原因かもしれない!?

健康な人では一晩絶食をしても血糖値は70~100㎎/dlの範囲にあり、糖質を主体とした食事を摂取した後でも140㎎/dlを越えない範囲に調節されています。
このような精密な血糖値のコントロールは、血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」とインスリンの作用に拮抗して血糖を上昇させるいくつかのホルモンのバランスのとられた調節によって成り立っています。

糖尿病の場合は持続的に高血糖状態が続いています。しかし、糖尿病ではないのに血糖値が急激に高くなったり低くなったり、低くなりすぎたりする場合があります。その血糖値の異常は健康診断の血液検査では見つけにくく、もし体調の不調を訴えたとしても大した問題として扱われなかったり、心の病として判断されてしまうこともあるかもしれません。

食後1~2時間後にこのような症状はないですか?

  • 眠くなる
  • 倦怠感が出る
  • 強い空腹感を感じる
  • 生あくびが出る
  • 動悸が震えが出る

ただし、血糖スパイクが発生していても、特に自覚症状がない場合もあるようです。

睡眠中~朝にかけて以下の症状はないですか?

  • 眠りが浅い
  • 悪夢を見る
  • 寝汗をかく
  • 朝起きると口がカラカラになっている
  • 朝起きた時に肩が凝っている
  • 朝の食欲がない

このような症状がある場合、血糖スパイクの影響を受けている可能性があります。

血糖スパイクの影響

食後の血糖値が高いことは、高血糖とは別に、独立して大血管疾患(狭心症・心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患)や酸化ストレスの原因あることが分かっています。

血糖値スパイクは、食後1~2時間後に血糖値が急激に乱高下する現象を指します。食事を摂って血糖値が上昇することは正常な反応なのですが、その度合いが急激であることにより、体への負担がかかると考えられます。健康な方でも、食事内容や食べ方によっては血糖値スパイクが起こることがあります。

正常な血糖値はいかなる食材でも血糖値の上昇は50~60㎎/dl以下であり、食後2~3時間には空腹時血糖へ緩やかに戻っていきます。しかし、血糖値の乱高下が起こりやすい食生活をしている場合、食後の血糖値が大きく鋭く上昇し、その後に急激に血糖値が低下してしまうことになります。これは空腹時血糖が正常であるため病院で血液検査をしても見つからないことが多く、血糖値が高いとも糖尿病とも経過観察とも言われることはありません。

血糖スパイクの測定方法は?

24時間血糖測定器FreeStyleリブレ2を用いることで食後のグルコース濃度(間質液中)を測定することができます。間質液中のグルコース濃度と血糖値(血中グルコース濃度)は厳密には異なり、食後のグルコース濃度は血中が先に上昇し、間質液中が遅れて上昇します。その結果、定点的に間質液中グルコース濃度を測定すると、実際の血糖値と異なる数値を表すので、間質液中のグルコース濃度は24時間持続的に測定し、その乱高下の動向を知ることが必要ですが、血糖値と間質液中グルコース濃度には高い相関関係があることは証明されています。

同じ人で測定しても、食事の種類、時間、睡眠時間、ストレスの有無などによって、血糖値の変動の仕方は異なってきます。
以下は、リブレを用いて測定した実際の血糖スパイクを示したグラフです。

15時頃に血糖値が急上昇していることが分かります。これは朝食と昼食の食事内容と食事時間の影響で血糖スパイクが発生している事例です。

血糖値の急上昇しにくい食事とは?

一般的に血糖値を上げにくい食品を「低GI食品」と呼んでいます。GIとはグリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。

低GI食をするコツをお伝えします!

  1. 穀物は精製されているものは避ける
  2. 果糖ブドウ糖液糖を避ける

これを意識するだけでも血糖スパイクは改善します。食事の順番を野菜やタンパク質から食べる方法も効果的です。

まとめ

生活習慣病の予防において重要である血糖値のコントロールですが、糖尿病にならないことを目的にするだけではなく、食後の血糖値の急激が上昇すなわち「血糖スパイク」を抑えることも重要です。食後の血糖値の上がりにくい生活を心がけましょう。

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