甘いものは血糖スパイクの天敵だと思われがちですが、「甘いものが食べたい」という欲求は体からのサインでもあります。
しかし甘いものが血糖スパイクの原因となることも事実です。血糖スパイクを起こしやすい食品と起こしにくい食品があることを知り、より自分の体のサインに敏感になることで、
効果的な食べ方を実践して健康な体づくりに取り組んでいきましょう。
血糖スパイクを起こしやすい食事
血糖スパイクは糖質の吸収速度が速いことで起こります。
同じく糖質が含まれる食品だとしても、より血糖スパイクを起こしやすいものとそうでないものがあります。
血糖スパイクを起こしやすい食事は以下のようなものがあります。
①高GI(グリセミック・インデックス)の食品
ブドウ糖の糖質吸収速度を100、としたときに70以上の吸収速度のある食品が高GI食品とされています。例えば、精白米、食パン、ハチミツ、ジャガイモなどがあります。
※参考 食品のGI値
逆に、血糖値を上げにくい食品としては肉や魚、野菜や海藻類が該当します。
②砂糖や甘い飲料
ドリンクやスナック類に含まれる白砂糖(グラニュー糖・上白糖・三温糖)・ブドウ糖・異性化糖(ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖)は急速に吸収され、血糖値を急上昇させます。ソフトドリンクやジュース、菓子類などに含まれていることが多いです。
おすすめの食事法
血糖スパイクを抑えるためには、単に上記の高GI食品や砂糖などの含有食品を避ければよいというものではなく、食べ方にも工夫が必要です。
以下の点に注意しましょう!
①朝食を必ず食べる
お腹が空いていなくても食べましょう。朝食を食べることで、昼食後の血糖スパイクを防ぐことができます。
食べる内容としては、糖質のみ(白米だけ、果物だけ)よりは食物繊維やタンパク質が豊富なものがよいです。手軽に摂れる食材としては、オートミールがあります。
②10時、15時頃に補食を摂る(昼食前や夕食前に眠気・不安感・疲労感が出る人向け)
空腹時間が長くなりすぎないようにすることで血糖スパイクを防ぐことができます。
摂りやすいお勧めの補食:
そぼろおにぎり・栗・ゆで卵・子魚・ナッツ・葛湯・出汁ドリンク
③パンより米を食べる
パンが良い場合は、精製パンより全粒粉パンを選びましょう。
③おやつの種類を変える
スナック菓子と野菜ジュースなら、ナッツとノンカフェインティーを摂りましょう。
④よく噛んでゆっくり食べる
ドカ食い・ながら食い・早食いをやめ、一口30回以上は噛んでゆっくり食べることで糖質の吸収を穏やかにすることができます。
⑤食べる順番を気にする
野菜・海藻➡肉・魚・卵➡米・パン の順番で食べましょう。
炭水化物を最後に摂取することで糖質の吸収を穏やかにすることができます。
⑥果物を主食にしない
果物に含まれる果糖も小腸でグルコースになり血糖値に影響を与えるので、食べ過ぎは禁物です。
絶対これは食べない!と決めてしまうとストレスになり、それも血糖上昇の一因になるので、
無理なく楽しくできる範囲で取り組んでみることがポイントです。
糖質は体の大事なエネルギー源でもあるので適切に摂っていきましょう。
⑦腹八分にする
「腹八分に病なし、腹十二分に医者足らず」という諺があります。腹八分程度で食べていれば医者はいらず健康に過ごすことができるという意味です。血糖スパイクを予防する目的は、血管の老化予防や食後の不調防止なので、たとえ低GI食品だとしても食べ過ぎると本末転倒です。
自分の摂取すべきカロリーに合わせて、白砂糖でまかなっていたカロリーを脂質やタンパク質で摂るようにする意識だとちょうどよいと思います。
なぜ甘いものは欲しくなるのか
疲れたときに甘いものが欲しくなった経験があると思います。
しかし、甘いものを食べても食べても疲れが取れないということはないですか?
そのような状態は血糖スパイクを防ぐ食生活をしていく上で弊害になってしまいます。
漢方ではそのような状態を「気」が不足していると考えます。
「気」が不足していると以下のような症状が出る場合があります。
▢疲れやすい・だるい・やる気がでない
▢無理をすると次の日動けないことが多い
▢甘いものが欲しくなる
▢階段を上るのがつらい
▢少し動くと動悸がする
▢風邪をひきやすい
▢冷えやすい
▢朝弱い
▢食後眠くなる
▢胃腸が弱い
▢汗っかき
▢内臓下垂ぎみ
▢(女性)月経の出血が長引く
▢(女性)排卵時の高温期の体温の上昇に時間がかかる
甘いものをエネルギーにする方法
私達の体は約37兆個の細胞でできていますが、小腸で吸収された栄養は血管や肝臓を通過して全身の細胞に運ばれていきます。
全身の各細胞の中にあるミトコンドリアという器官は、
食事から運ばれてきた栄養素を元にして「エネルギー」を作っています。
「気」が不足する体質の人にとっては、ミトコンドリアの機能を活性化することが、特に重要になります。
ミトコンドリアの機能を活性化するために必要なミネラルと含有食材
- ビタミンB1 豚肉(ひれ)、うなぎのかば焼き、絹ごし豆腐、玄米
- ビタミンB2 豚レバー、鰻の蒲焼、納豆、鶏卵、マガレイ、舞茸、干し海苔、わかめ
- マグネシウム 木綿豆腐、キンメダイ、ひじき、ほうれんそう、とうもろこし、かぼちゃ、わかめ、クルミ (マグネシウムは経皮吸収されるので、入浴剤としてエプソムソルトを使用することも良いでしょう。)
- 鉄 アサリの水煮、豚レバー、レンズ豆、マイワシ、こまつな
- ナイアシン カツオ、たらこ、鶏むね肉、豚レバー、クロマグロ、まいたけ、マサバ
- コエンザイムQ10 大豆、くるみ、アーモンド、ホウレンソウ、イワシ、牛肉、鶏肉
などの栄養素が必要です。
ミトコンドリアを活性化するために必要な行動
①サラダ油をココナッツオイルにする
ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を多く含み、他の油よりミトコンドリアの原料になりやすいためです。
②食事の中で酢の物を摂る
酢の物に含まれる酢酸は胃酸の分泌を高め、適切な胃酸分泌はマグネシウムやカリウムなどのミネラルの吸収を高めてくれます。
また、胃の消化力の弱りを感じる際には梅干しに含まれるクエン酸も胃酸分泌の助けになるでしょう。ただし摂りすぎは胃酸過多や塩分過多につながるので注意が必要です。
③精製食品の過剰摂取をしない
精製糖(上白糖・グラニュー糖・三温糖)や異性化糖(果糖ブドウ液糖・ブドウ糖果糖液糖)は甘さ以外の成分をそぎ落としてスッキリとした味をしている分、さとうきび本来のミネラルが含まれていないので、糖の代謝を考えたときに必ず他でミネラルを補給してあげる必要がでてきます。そのため、精製糖の過剰摂取はミトコンドリアのエネルギー効率を下げる可能性があります。
また、精製糖ほどではないとしても、多糖類である精製穀物(精製小麦・精製米)も同様にミネラル
④腸内環境の改善をする
腸内環境を整えることで、鉄やマグネシウムの吸収改善につながります。
⑤カルシウムの過剰摂取をしない
血中のカルシウム濃度が高まると鉄、亜鉛、マグネシウムなど他のミネラルの吸収を阻害します。サプリメントで摂る場合には、カルシウム:マグネシウムが1:1の製品が好ましいです。
⑥肝機能改善(胆汁分泌の適正化)
胆汁の分泌が低下していると、コエンザイムQ10の吸収が低下してしまいます。
まとめ
体のエネルギーをつくるためには、糖質だけでなくミネラルが必須です。
精製糖や精製穀物を単独で摂りすぎることで、ミトコンドリアのエネルギー産生効率が低下し、疲れやすい体になることがあります。
また、疲れやすいと甘いものを摂りたくなりますが、甘いものとして精製糖などを摂取するとさらに疲れやすくなってしまうだけでなく、血糖スパイクも起こしやすくなります。
血糖スパイクを見つけることを通して、自分の食生活を見直してみましょう。